双子育児が少し落ち着いてくる3歳頃。
毎日の生活に、ほんの少し余白が生まれてくると、
「これから、どんな力を大切にしていこうか」
そんなことを考え始める方も多いのではないでしょうか。
最近よく聞くようになった「非認知能力」という言葉も、
気になりつつ、
「双子の場合はどう考えたらいいんだろう?」
「そもそも何をすればいいの?」
と、ふんわりした疑問のままになりがちです。
私自身も、早期教育をしたいわけでも、
何かを無理に身につけさせたいわけでもありませんでした。
ただ、双子だからこそ、
できる・できない以外の視点で
子どもたちを見られる軸が欲しいと感じていました。
この記事では、
双子・3歳という時期に意識したい非認知能力を10の力に分けて整理し、
家庭の中でどんな関わり方ができるのかを、全体像としてまとめています。
「何か始めなければ」と焦る必要はありません。
今の関わりを、少し言葉にしてみる。
そのためのヒントとして、気になるところから読んでみてください。
非認知能力とは?双子育児で注目される理由
非認知能力とは、テストの点数や知識量のように数値で測れる力ではありません。
たとえば、気持ちを切り替える力、やり抜こうとする姿勢、人と関わろうとする力など、**日々の生活の中で少しずつ育っていく「土台のような力」**を指します。
ここで大切なのは、非認知能力は「何かを教え込めば身につくもの」ではない、という点です。
「優しくなって」と言葉で伝えたからといって、子どもがその通りに振る舞えるようになるわけではありません。
ドリルや早期教育の延長線上にある話ではなく、普段の関わり方や声のかけ方の積み重ねによって形づくられていきます。
学力や早期教育の話ではないこと
非認知能力という言葉を聞くと、「結局は勉強ができる子にするための話では?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし本質はそこではありません。
結果として学力につながることはあっても、
非認知能力そのものは 「点数を取る力」ではなく、「学び続ける力」や「折れずに向き合う力」 に近いものです。
目に見える成果を急ぐほど、かえって育ちにくい力とも言えます。
双子育児では「結果」より「過程」に目が向きやすいこと
双子を育てていると、同じ環境で育っているはずなのに、反応や成長のペースが違う場面に何度も出会います。
できた・できないという結果だけで比べることが、あまり意味を持たないと感じる瞬間も多いのではないでしょうか。
「どうしてこうなったのか」
「どんな関わりがあったのか」
自然と、過程そのものに目が向きやすくなるのが双子育児の特徴だと思います。
だからこそ、非認知能力という考え方がフィットする
非認知能力は、短期間で成果が見えるものではありません。
けれど、日常の中で親の意識が少し変わるだけで、子どもへの声のかけ方や受け止め方が変わり、
その積み重ねが、子どもの中に静かに残っていきます。
双子育児で感じやすい
「結果では測れない成長」
「今は見えないけれど、確かに積み重なっているもの」
それを言語化してくれる考え方として、非認知能力はとても相性が良いのです
双子育児で感じやすい“関わりにくさ”の正体
双子育児では、「ちゃんと関わっているはずなのに、なぜかうまくいかない」と感じる場面が少なくありません。
その理由は、親の関わり方が足りないからではなく、関わろうとするほど負荷が集中しやすい構造にあります。
同時対応が避けられない
双子育児では、ひとりに起きた出来事が、ほぼ同時にもうひとりにも波及します。
特に喧嘩やトラブルの場面では、
- 叩いてしまった子
- おもちゃを取られて泣いた子
どちらか一方だけを見る、という選択が取りにくくなります。
私自身、兄弟げんかは「ある程度は見守る」という考え方があることも知っていますが、
一歳半〜二歳ごろは、お互いに加減が分からずヒヤヒヤする行動が多く、どうしても仲裁に入ることが多くありました。
三歳になった今でも、完全に放っておけるかと言われると、正直まだ難しいです。
観察していると、叩いた側にも、叩かれた側にも、それぞれケアが必要だと感じる場面が多くあります。
比べないつもりでも、比較が起きやすい
同じ月齢、同じ環境で育つ双子は、親が意識していなくても「違い」が目に入りやすい存在です。
- どちらが先に手を出したのか
- どちらが我慢していたのか
- どちらがより強く泣いたのか
状況を整理しようとするほど、無意識の比較が発生しやすくなります。
親が「調整役・通訳役」になりがち
双子の喧嘩では、親が
- 気持ちを代弁する
- 状況を整理する
- 双方に言葉を届ける
調整役・通訳役にならざるを得ない場面が多くあります。
叩いた子には「どうしてそうしたのか」を、
取られた子には「とった子の気持ちを代弁してあげる」。
どちらか一方を正すというより、
それぞれの立場にある気持ちを、言葉にしてつなぐ役割を
親が担う場面が多くなります。
うまくやろうとするほど、関わりが難しくなる理由
このように双子育児では、
- 同時対応
- 比較の発生
- 親の役割の多重化
が重なりやすく、「うまくやろう」「公平に関わろう」と意識するほど、関わりの難易度が上がっていきます。
これは親の能力や努力の問題ではなく、
双子育児そのものが持つ構造的な特徴と言えるでしょう。
非認知能力は「教え込む話」ではない
非認知能力は、何かを身につけさせるためのスキルではありません。
「こう声をかければ育つ」「これをすれば伸びる」といった、正解のある話でもありません。
優しくなって、と言えば優しくなるわけではない。
我慢して、と伝えれば我慢できるようになるわけでもない。
非認知能力は、親が意識的に教え込むものではなく、日常の関わりの中でにじみ出ていくものです。
親の意識が変わると、日常の意味づけが変わる
大きく変わるのは、子どもではなく、最初は親の見方です。
同じ出来事でも、
- 「またできなかった」
- 「うちのこには向いていない」
- 「まだ身についていない」
と見るのか、
- 「今はこういう段階なんだ」
- 「ここで何を感じているんだろう」
- 「一つ戻ってもう少し同じこと反復してみよう」
と捉えるのかで、関わり方は自然と変わってきます。
正しい声かけを探すよりも、
目の前の出来事をどう受け取るか。
その積み重ねが、非認知能力につながっていきます。
「ありがとう」を意識して使うようになって気づいたこと
私自身、ある時期から意識的に「ありがとう」という言葉を子どもに使うようにしました。
何か特別なことを教えたわけではありません。
おもちゃを片付けてくれたとき。
待っていてくれたとき。
ほんの些細な場面で、「ありがとう」と伝える。
それを一ヶ月ほど続けた頃、
娘が適切なタイミングで「ありがとう」と言う場面が増えていることに気づきました。
おそらく、急に身についたわけではありません。
以前から言っていたかもしれません。
ただ、こちらが意識していなければ、
その変化はきっと、日常の中に埋もれて過ぎ去っていたと思います。
非認知能力は「育てる」より「気づく」もの
非認知能力は、何かを足すことで育つというより、
すでに起きている変化に、親が気づけるかどうかで見え方が変わります。
親の意識が変わると、
- 見逃していた行動に目が向く
- 声をかけるタイミングが変わる
- 子どもの反応の意味づけが変わる
そうして、日常の関わりそのものが、
非認知能力を育てる環境になっていきます。
次の章では、
こうした考え方を前提に、非認知能力を大きく3つの視点から整理していきます。
双子育児の中で、どこに目を向ければいいのか。
無理なく意識できる軸を、具体的に見ていきましょう。
非認知能力は3つの視点で分けて考えると楽になる

非認知能力は、細かく分けすぎると分かりにくくなりがちです。
この記事では、双子育児の中で意識しやすいよう、
「自分を育てる力」「他者と関わる力」「困難に向き合う力」の
3つの視点に整理しています。
それぞれの中に、自己肯定感や共感力、レジリエンスなど、
いわゆる「10の力」が含まれています。
自分を育てる力
(自己肯定感・好奇心・考える力 など)
自分を育てる力とは、
気持ちを感じ取ったり、興味を広げたり、考えようとする姿勢など、
子どもの内側で育っていく力です。
双子の場合、行動が似ている分、
こうした内面的な変化が見えにくいこともあります。
この力をどう捉え、どう関わるかは、
それぞれの力ごとに子記事で詳しく整理していきます。
この「自分を育てる力」を支えている土台のひとつが、
自己肯定感です。
自己肯定感というと、
「できた」「成功した」という経験を思い浮かべがちですが、
日常の中にある小さな積み重ねも、
子どもの内側を確実に育てていきます。
「ママやって」と言う背景にも、
子どもが考える力の育ち方が関係しています。
他者と関わる力
(共感力・思いやり・社会的能力)
双子育児では、毎日のようにぶつかり合う場面が生まれます。
一見すると大変ですが、
他者と関わる力が育つ機会が日常にあるとも言えます。
うまく関わらせようとしすぎるよりも、
関係の中で何が起きているのかに目を向けることが大切です。
具体的な関わり方や考え方は、子記事で掘り下げていきます。
困難に向き合う力
(対応力・粘り強さ・レジリエンス)
思い通りにいかなかったとき。
負けたとき、できなかったとき。
その瞬間にどう関わるかが、
困難に向き合う力の土台になります。
立ち直らせようと急がず、
その時間をどう見守るか。
この視点についても、子記事で詳しく触れていきます。
3歳の双子に「全部できなくていい」理由
非認知能力は、完成させるものではありません。
「この年齢でここまでできていなければならない」という
チェックリストのようなものでもありません。
三歳の時点で大切なのは、形になっているかどうかではなく、
その力の“芽”が見え始めているかどうかです。
非認知能力は完成形を目指すものではない
自己肯定感も、共感力も、粘り強さも、
三歳で完成する力ではありません。
揺れたり、戻ったり、できたりできなかったりしながら、
長い時間をかけて育っていくものです。
だからこそ、今この瞬間に
「できていない」ことを数える必要はありません。
今は「芽」があれば十分
たとえば、
- 少し待てた
- 相手の様子を見た
- 悔しさを感じた
- もう一度やろうとした
どれも一瞬で、見逃してしまいそうな変化です。
それでも、それは確かに芽が出ているサインです。
大きく育っているかどうかより、
芽が折れずに残っているか。
そこに目を向けるだけで、関わり方は変わってきます。
親が「評価者」にならないことの大切さ
非認知能力を意識し始めると、
つい「今の対応は合っていたかな」「これは伸びているのかな」と
評価する目線になりがちです。
でも、親が評価者になるほど、
子どもは「どう振る舞えばいいか」を探し始めます。
正解を出すことより、
安心して感じたり、試したりできること。
その土台があるからこそ、
非認知能力はゆっくりと育っていきます。
この章のゴールは、
「もっと頑張ろう」ではなく、
**「今の関わりを、少し信じてみよう」**と
肩の力が抜けることです。
家庭でできる関わり方は、特別なことではない
非認知能力を育てると聞くと、
何か新しいことを始めなければいけないように感じるかもしれません。
でも実際は、
特別な教材や、特別な声かけが必要なわけではありません。
声かけや環境づくりについては、
実例を交えて詳しく書いています。
環境を少し変える
いつも起きている出来事も、
環境が少し変わるだけで、子どもの反応は変わります。
置き方を変える、待つ時間をつくる。
それだけでも、関わり方は変わってきます。
(※ 具体例は各子記事で今後紹介していきます)
見方を少し変える
同じ行動でも、
「困った行動」と見るか
「今の段階を表している行動」と見るかで、
声をかける言葉は自然と変わります。
正解を探すより、
どう見ているかを意識することが大切です。
正解を探さない
非認知能力に、
「これをすれば必ず伸びる」という方法はありません。
家庭ごと、子どもごとに違うからこそ、
正解を探し続けるより、
今の関わりを積み重ねていくことに意味があります。
このあと、
自己肯定感・共感力・困難に向き合う力など、
それぞれの力について、具体的な視点を子記事でまとめていく予定です。
※ 詳しくは順次追加予定です
まとめ|今の関わりは、きっと10年後につながっている
非認知能力は、すぐに結果として見えるものではありません。
今の関わりが正しかったのかどうかも、
はっきり分かるのは、ずっと先かもしれません。
うまくいった日もあれば、
これでよかったのかと迷う日もある。
双子育児では、その揺れを感じる場面が、なおさら多くあります。
それでも、ひとつ確かなのは、
親の見え方が変わると、日常そのものが変わるということです。
できた・できないで評価するのではなく、
芽が出ていることに目を向ける。
正解を探すのではなく、関わりの意味を見直す。
その積み重ねが、
10年後、15年後に振り返ったとき、
「あの時間があった」と思える土台になっているはずです。
非認知能力は、全部を一度に意識する必要はありません。
気になる力、今の生活に近いテーマから、
少しずつ読んでみてください。
今の関わりは、今日で完結するものではありません。
静かに、確実に、未来へつながっています。
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