【双子の進路】公立・私立どっちが得?高校3年間の費用比較と、大学入学までに貯めるべき目標額の出し方

 双子の親にとって、教育費の悩みは尽きないもの。「小さい頃はオムツ代が2倍で大変だった」なんて笑い話も懐かしくなるほど、高校・大学進学の時期には桁違いのお金が「同時」に動き出します。

「公立高校なら安心?」 「私立に行かせたら破産する?」 「そもそも大学費用って2人分でいくら用意すればいいの?」

そんな漠然とした不安を抱えている方へ。 今回は、双子の高校進学にかかるリアルな費用シミュレーションと、公立・私立のコスパ比較、そして大学入学までに準備すべき目標額について、具体的な数字を使って解説します。

教育費のピークを乗り越えるための「作戦会議」を始めましょう。

※小学校と中学校の費用もまとめております。

公立小学校に行かせた場合の学費はいくら?双子でかかる教育費をリアルに試算! 双子が中学生になると教育費はいくら?男の子・女の子で違う出費を徹底チェック!

まずは把握!双子の高校3年間にかかる費用の目安

高校入学から卒業までの3年間、実際どれくらいのお金がかかるのでしょうか。文部科学省のデータをもとに算出した目安がこちらです。

項目公立高校(全日制)私立高校(全日制)
学校教育費
(授業料、修学旅行費、通学費など)
約 105万円約 230万円
学校外活動費
(塾、習い事など)
約 73.8万円約 80万円
3年間の合計約 179万円約 310万円
【公立・私立】3年間の学習費総額(1人あたり)

※出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」より概算

双子(2人分)だとこうなる!

これを双子に当てはめると、単純計算で以下のようになります。

2人とも公立高校:約 358万円

公立1人 & 私立1人:約 460万円

2人とも私立高校:約 620万円

 3年間でこの金額です。特に私立2人の場合は、年間平均で約200万円の出費。月にならすと約17万円の負担増となります。 もちろん、現在は「高等学校等就学支援金制度」により、世帯年収によっては授業料が実質無償化されるケースも多いですが、授業料以外の「施設設備費」や「修学旅行積立」、「制服代」などは対象外である点に注意が必要です。

恐怖の「入学の春」…4月に一撃でいくら飛ぶ?

双子親が最も恐れるべきは、毎月の支払いよりも**「入学時のキャッシュフロー」**です。 合格発表から入学式までのわずか1〜2ヶ月の間に、以下の支払いが2人分同時に発生します。

  • 入学金
  • 制服・ジャージ・体操着・靴
  • 教科書・副教材
  • 指定カバン
  • タブレット端末(PC)代(※最近は必須の学校が多いです)

2人分の入学準備金(目安)

  • 公立2人:約 30〜50万円
  • 私立2人:約 80〜150万円

この現金を、3月〜4月の短期間で用意しておく必要があります。

単純な学費比較は危険!公立と私立の「中身」と「コスパ」の違い

「やっぱり公立の方が安くていいわね」と思った方、ちょっと待ってください。 高校選びで重要なのは、「高校の費用」だけでなく「大学受験にかかる費用」まで含めたトータルコストです。

「公立+塾」vs「私立(塾なし)」の逆転現象

公立高校は授業料が安い反面、大学受験対策のために予備校や塾に通う生徒が多い傾向にあります。一方、私立高校の中には「塾いらず」を謳い、放課後の補習や夏期講習を学校内で完結してくれる手厚い学校もあります。

もし、公立高校に通いながら、高校2年生から大手予備校に2人通わせたとしましょう。

  • 公立高校の学費:安い
  • 予備校代(2年・3年):2人で約150万〜200万円

こうなると、「面倒見の良い中堅私立高校(塾なし)」に通わせた場合と、総額がほとんど変わらない、あるいは公立の方が高くなるという逆転現象が起こり得ます。

推薦枠という「見えない資産」

また、私立高校は大学の「指定校推薦枠」を多く持っているケースや、大学附属校としてのメリットがある場合があります。 一般受験のための塾代や受験料(1校3.5万円×数校×2人分!)を考えると、私立高校から推薦で大学へ進学するルートは、精神的にも金銭的にも「コスパが良い」という見方もできます。

双子ならでは!高校生活で直面する「お金と労力」のリアル

数字には表れない、双子家庭ならではの高校生活の悩みも考慮しておきましょう。

1. 定期代とスマホ代の圧迫感

義務教育まではかからなかった「通学定期代」と「スマホ代(大人料金や端末代)」が、高校からダブルで家計にのしかかります。特に自宅から遠い高校へ2人が別々に通う場合、定期代だけで月数万円になることも。

2.同じ高校 vs 別々の高校

同じ高校のメリット

・行事予定が同じで親が楽。

・ジャージや副教材の貸し借りができる(かもしれない)。

・PTA役員が1回で済む可能性がある。

別々の高校のメリット

・それぞれの学力や個性に合った環境を選べる。

・「双子」として比較されるストレスから解放される。

デメリット:行事が重なると親は身体分裂の術が必要。お弁当の時間や登校時間がズレると朝が戦場。

3. 兄弟割引はある?

 一部の私立高校では、兄弟姉妹が同時に在籍する場合に「入学金免除」「授業料半額」といった兄弟割引制度を設けていることがあります。これは双子にとって最強のメリット!

志望校のパンフレットや募集要項を必ずチェックしましょう。

高校はゴールじゃない!「大学費用」を見据えた資金計画

 高校の費用で息切れしている場合ではありません。本当の山場は大学進学です。 双子が大学へ進学する場合、いくら貯めておくべきなのでしょうか。

進路パターン1人あたり総額2人分総額
国公立 × 2人約 243万円約 486万円
私立文系 × 2人約 408万円約 816万円
私立理系 × 2人約 551万円約 1,102万円
私立文系 & 私立理系約 959万円
大学4年間の学費総額(2人分)の目安

※自宅外通学(一人暮らし)をする場合は、これに加えて仕送り(生活費)が2人分かかります。仕送りを1人月10万とすると、4年間で約1,000万円がさらに必要になります。(白目)

目標貯蓄額の出し方

 今の時点で「1000万円なんて無理!」と絶望する必要はありません。 重要なのは、**「高校3年間は貯め時のラストチャンス」**だと心に刻むことです。

  1. 現在の貯蓄額を確認(児童手当の総額など)
  2. 足りない金額を算出(上記の表から概算)
  3. 奨学金の検討(貸与型、給付型、予約採用の時期を確認)

 高校入学直後から、「月々いくら積み立てれば大学入学金の2人分(約50〜60万円×2)を用意できるか」だけでも計算してスタートを切りましょう。

世帯年収1000万円の双子家庭は習い事に月いくら使える?4歳〜6歳の教育費モデルを公開

2026年に向けて加速する「高校無償化」。でも手放しで喜べない3つの理由

 ニュースなどで「高校授業料の完全無償化(所得制限の撤廃)」という言葉を耳にする機会が増えました。東京都や大阪府など一部の自治体ではすでに先行して始まっていますが、2026年以降、この流れが全国や他の制度にも波及していく可能性があります。

 「じゃあ、お金を貯めなくてもよくなる?」 そう思うのはまだ早いです。無償化が進むことで予測される**「新たなリスク」**についても知っておきましょう。

令和7年度版 文部科学省 お知らせ

「所得制限の一部の事実上撤廃」とは?

1.授業料はタダでも「その他の費用」が値上がりする可能性

 これが一番の懸念点です。
「授業料」は国の制度で賄われても、学校側が自由に決められる「施設設備費」や「教育充実費」「修学旅行費」などが値上げされる可能性があります。
 実際に、支援金が増えた分、学校全体の設備のクオリティを上げるために諸経費を改定する私立高校も出てくるかもしれません。「トータルの支払額は結局あまり変わらなかった」とならないよう、募集要項の細かい数字までチェックが必要です。

2.私立高校の人気が爆発し、倍率が跳ね上がる

 「お金がかかるから公立」と考えていた層が、「無償なら私立がいい」と流れてくるため、人気のある私立高校の倍率が急上昇することが予想されます。
双子の場合、「2人とも同じ私立に入れたかったのに、倍率が高すぎて1人だけ落ちてしまった」という事態になると、送迎やスケジュール管理が非常に複雑になります。
「無償化=入りやすくなる」ではなく「無償化=選ぶ人が増えて入りにくくなる」と考えておいた方が無難です。

3.教育の質の二極化

 私立高校は生徒確保のために設備投資やカリキュラムの充実(=コスト増)を行いますが、公立高校は予算が限られています。
結果として、私立と公立の間で、ICT環境や海外研修の有無など「教育サービスの格差」が今以上に開く可能性があります。
「タダだから」という理由だけで選ぶと、期待していた教育環境と違う…というミスマッチが起こるかもしれません。

まとめ:選択肢を持つために早めのシミュレーションを

 双子の教育費は確かにインパクトが大きいですが、事前に数字を把握しておけば、対策を打つことができます。

  • 公立・私立の判断は「塾代」まで含めた総額で考える。
  • 高校入学時の「春の出費」のために現金を確保する。
  • 私立独自の「兄弟割引」や「特待生制度」もリサーチする。

「2人分かかるからこそ、1円でも安く」と焦る気持ちもわかりますが、大切なのは子供たちが納得して通える進路を選べること。 まずは今日、電卓を叩いて「我が家の場合はどうなる?」とシミュレーションすることから始めてみませんか?

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