双子の大学進学は、もともと教育費の負担が大きいもの。
そこに「下の子」がいると、
「3人分の大学費用って、いったいいくらかかるの?」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。
一方で、令和7年度から始まる多子世帯の大学無償化は、
双子+下の子という家族構成だからこそ、
大きな恩恵を受けられる可能性があります。
この記事では、
双子(私立文系1人・私立理系1人)+下の子(私立文系)・2歳差
というモデルケースをもとに、
無償化が「ある場合」と「ない場合」で、
大学費用がどれほど変わるのかを具体的な金額でシミュレーションしました。
「制度の仕組みがよく分からない」
「自分の家庭が対象になるのか知りたい」
そんな方が、家計の見通しを立てるヒントとして使える内容になっています。
令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!
( 「高等教育の修学支援新制度」の拡充)
この記事で分かること
この記事では、**双子+下の子(2歳差)**という家族構成を例に、
大学無償化を利用した場合の教育費のイメージを具体的に整理しています。
■ 双子+下の子(2歳差)の大学費用イメージ
双子が同時に大学へ進学し、下の子も年齢が近い場合、
3人分の大学費用がどのくらいかかるのかを、
無償化が「ある場合」「ない場合」それぞれの金額で確認できます。
■ なぜこのケースが無償化の恩恵を受けやすいのか
多子世帯の大学無償化は、
「子どもの人数」ではなく扶養人数と在学状況が判定基準です。
そのため、双子+下の子(2歳差)のように
大学在学期間が重なりやすい世帯は、
制度の恩恵を最大限に受けやすくなります。
■ 他の双子家庭との違い
同じ双子家庭でも、
- 双子のみの場合
- 上の子+双子の場合
では、無償化の対象になる期間や人数が異なります。
この記事では、そうしたケースとの違いにも触れながら、
なぜ「双子+下の子(2歳差)」が特に有利になりやすいのかを解説します。
前提条件|今回のシミュレーション設定

本記事では、大学無償化による負担軽減のイメージをできるだけ具体的にするため、
あらかじめ条件を固定したモデルケースをもとにシミュレーションを行っています。
本シミュレーションは、
文部科学省が公表している私立大学の平均的な学費データをもとに、
無償化が「ある場合」と「ない場合」で、
3人分の大学費用がどの程度変わるのかを比較しています。
条件を最初に固定しているのは、
途中で前提が変わってしまうと
「結局いくらなのか」が分かりにくくなってしまうためです。
👉 この条件を前提として、以降の金額や差額を見ていくと、
大学無償化が家計に与える影響をイメージしやすくなります。
なぜ「双子+下の子(2歳差)」は無償化の恩恵が大きいのか
扶養3人を満たしやすい理由
大学無償化(多子世帯支援)は、
**「子どもの人数」ではなく「扶養している子どもの人数」**が基準になります。
双子+下の子(2歳差)の場合、
双子が大学に進学する時点で、
- 大学在学中の双子2人
- まだ高校生(またはそれ以下)の下の子1人
という状態になりやすく、
扶養人数が3人そろった状態を作りやすいのが特徴です。
この「扶養3人」を満たすタイミングがあることで、
多子世帯として大学無償化の対象になりやすくなります。
大学在学期間が重なりやすい構造
双子は同じ年に大学へ進学するため、
2人分の大学在学期間が完全に重なります。
さらに下の子が2歳差の場合、
双子が大学2年生・3年生の時期に、
下の子も扶養に含まれる年齢であるケースが多く、
- 扶養3人
- 大学在学2人
という条件が同時に成立しやすくなります。
この「在学期間が重なる構造」こそが、
双子+下の子世帯が無償化の恩恵を受けやすい大きな理由です。
「人数」ではなく「進学タイミング」が重要な理由
一見すると、
「子どもが3人いれば、ずっと無償化の対象になる」
と思われがちですが、実際はそうではありません。
大学無償化は、その年度に
- 扶養している子どもが何人いるか
- 大学に在学している子が何人いるか
によって、毎年判定される制度です。
そのため、
- 年齢差が大きい
- 進学時期が重ならない
といった場合は、
子どもが3人いても無償化の対象にならない年が出てきます。
双子+下の子(2歳差)のケースは、
この「進学タイミング」が噛み合いやすく、
結果として支援を受けられる年が多くなりやすいのです。
👉 つまり、
大学無償化で重要なのは「子どもの人数」よりも
「誰が・いつ大学に通っているか」
という点だと言えます。
年表で見る|2歳差の場合の大学在学と扶養人数

この年表から分かるポイント
双子+下の子(2歳差)のケースを年表で整理すると、
大学無償化の支援が「いつ」「誰に」適用されるのかが見えてきます。
- 双子が大学に在学している4年間は、双子2人が支援対象になりやすい
- 下の子が大学1〜2年生の期間は、条件を満たせば3人全員が支援対象になる
- 支援の有無は、子どもの人数ではなく、進学時期と扶養状況で決まる
👉 特に、
「双子+下の子(2歳差)」は、支援が最大化する年が明確に存在する
という点が、この年表から読み取れます。
では、実際にいくら変わるのか?
ここまでで、
- なぜこのケースが有利なのか
- どの年に支援が集中するのか
は構造として理解できたと思います。
次は、
無償化が「ある場合」と「ない場合」で、
3人分の大学費用が実際にどれくらい変わるのかを、
具体的な金額で見ていきます。
👉 次章では、
私立文系・私立理系を含めたモデルケースで、
年間負担と総額の差をシミュレーションします。
無償化がない場合の大学費用|3人分の合計はいくら?
今回のモデルケース(おさらい)
- 家族構成:双子+下の子(2歳差)
- 進学先
- 双子①:私立大学(文系)
- 双子②:私立大学(理系)
- 下の子:私立大学(文系)
※ 本記事では、文部科学省が公表している
「私立大学入学者に係る初年度学生納付金等の平均額」をもとに、
あくまで目安としてシミュレーションしています。
無償化なしでかかる大学費用の目安
- 双子(私立文系+私立理系):約920万円
- 下の子(私立文系):約400万円
▶ 3人分合計:約1,320万円
👉 双子家庭では、
大学進学が重なるだけで1,000万円を超える負担になるケースも珍しくありません。
令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等
平均額(定員1人当たり)の調査結果について
大学費用シミュレーション|無償化でいくら軽くなる?
無償化が適用される人数と期間(2歳差の場合)
- 双子が大学に在学している期間
→ 双子2人が支援対象 - 下の子が大学1〜2年生で、扶養に含まれる期間
→ 条件を満たせば 3人全員が支援対象
※ 支援の有無は、年度ごとの扶養状況・在学状況で判定されます。
無償化が適用された場合の負担額(目安)

- 無償化ありの3人分合計:約 595万円
- 無償化なしの3人分合計:約 1,320万円
▶ 差額:約720万円以上
👉 同じ進学先・同じ人数でも、
制度を利用できるかどうかで、数百万円単位の差が生まれます。
数字を見ると分かる、無償化のインパクト
- 年間の負担が一番軽くなるのは
3人全員が支援対象になる年 - 双子+下の子(2歳差)は
この「重なる年」を作りやすい構造
👉 これが、
「双子+下の子は無償化の恩恵が大きい」と言われる理由です。
他の双子家庭と比べるとどう違う?
双子家庭といっても、
きょうだい構成や年齢差によって、
大学無償化の対象になる期間や人数は大きく異なります。
ここでは、よく比較される2つのケースと、
双子+下の子(2歳差)との違いを整理します。
双子のみの場合との違い
双子のみの家庭では、
同時に大学へ進学することで教育費の負担は大きくなりますが、
- 扶養人数は2人
- 多子世帯の条件(扶養3人以上)を満たさない
という理由から、
原則として大学無償化の対象にはなりません。
そのため、
同じ私立文系・理系に進学した場合でも、
双子+下の子世帯と比べると、
支援の有無による差がそのまま家計負担の差になります。
👉 双子のみの場合の大学費用については、
▶︎ 【双子の大学教育費はいくら?】詳しくはこちら
上の子+双子の場合との違い
「上の子+双子」の3人きょうだいの場合でも、
必ずしも大学無償化の恩恵を受けられるとは限りません。
- 上の子がすでに卒業・就職している
- 大学在学期間が重ならない
といった場合、
扶養人数が3人そろわず、
双子が無償化の対象にならない年が多くなりがちです。
一方で、
進学時期が短期間だけ重なるケースでは、
一部の年だけ支援を受けられる可能性もあります。
👉 上の子+双子の場合の詳しい条件は、
▶︎ 【上の子+双子】大学無償化の注意点は今後まとめていきます
「2歳差」が効いてくる理由
双子+下の子(2歳差)のケースが有利なのは、
大学在学期間と扶養期間が重なりやすいからです。
- 双子は同時に大学へ進学
- 下の子も年齢が近く、扶養に含まれる期間が長い
その結果、
- 扶養3人を満たす年
- 大学在学者が複数いる年
が同時に成立しやすく、
支援を受けられる年数が増えるという特徴があります。
👉 同じ3人きょうだいでも、
年齢差によって結果が大きく変わるのが、
大学無償化制度の分かりにくいポイントです。
よくある勘違いと注意点
最後に、大学無償化について
特に勘違いされやすい点と注意点をまとめておきます。
3人いる=ずっと全員対象ではない
多子世帯の大学無償化は、
「子どもが3人いるかどうか」ではなく、
- その年度の扶養人数
- 大学に在学している人数
によって毎年判定されます。
そのため、
3人きょうだいであっても、
常に全員が対象になるわけではありません。
扶養から外れた年は対象外
- 就職した
- 一定以上の収入がある
などの理由で扶養から外れた場合、
その年度は無償化の対象外になる可能性があります。
特に、
大学在学中のきょうだいが多い家庭ほど、
扶養の判定には注意が必要です。
アルバイト収入の影響
大学生本人のアルバイト収入が増えると、
扶養から外れてしまうケースがあります。
- 「少し働いただけ」のつもりでも
- 年間収入次第では影響が出る
ことがあるため、
無償化を前提に家計を考える場合は要注意です。
まとめ|双子+下の子は「進学時期」で教育費が決まる
- 双子+下の子(2歳差)の家庭は、大学無償化の条件を満たしやすく、支援の恩恵が最も大きくなりやすい
- 無償化の可否を左右するのは「子どもの人数」ではなく、進学タイミングと扶養状況
- 同じ双子家庭でも、年齢差によって大学費用は数百万円単位で差が出る可能性がある

大学費用無償化詳細-160x160.png)