「双子はかわいいけれど、教育費が心配」
そう感じているご家庭は少なくありません。
特に大学進学となると、
2人分の学費が同時にかかるという点で、
双子家庭はどうしても不利に見えがちです。
一方で、令和7年度から始まる
**「子ども3人以上世帯の大学授業料無償化」**によって、
「兄弟がいる双子家庭は、むしろ教育費が抑えられるのでは?」
と感じた方もいるのではないでしょうか。
ただし、この制度は仕組みが少し複雑で、
双子だけの場合と
双子+兄弟がいる場合では、
教育費のかかり方が大きく変わります。
この記事では、
双子家庭の大学教育費が「高い」と言われる理由を整理したうえで、
双子のみの場合と
兄弟がいる場合を比較しながら、
どの世帯構成が、いつ、どれくらい影響を受けるのかを
わかりやすく解説していきます。
令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!
( 「高等教育の修学支援新制度」の拡充)
文部科学省より引用
双子家庭の大学教育費が「高い」と言われる理由
同時進学のインパクト
双子家庭の最大の特徴は、
大学進学のタイミングが完全に重なることです。
一般的な家庭では、
兄弟が年齢差をもって進学するため、
大学費用は「数年おき」に発生します。
しかし双子の場合、
- 入学
- 在学
- 卒業
このすべてが同時進行になります。
結果として、
「毎年の負担が倍になる」
「一時的な出費が非常に大きくなる」
という状況が生まれやすく、
大学教育費が高く感じられる要因になっています
入学金・初年度費用が重なる現実
大学進学で特に負担が大きいのが、初年度です。
- 入学金
- 前期授業料
- 教科書代
- パソコン・通学用品
- 引っ越し費用(下宿の場合)
これらが、双子の場合は2人分同時に発生します。
たとえば私立大学では、
入学初年度だけで1人あたり150万〜200万円前後
かかることも珍しくありません。
これが同時に2人分となるため、
家計へのインパクトが非常に大きく、
「双子の大学費用は大変」という印象につながっています。
奨学金を検討する家庭が多い背景
こうした事情から、
双子家庭では奨学金を検討するケースが多く見られます。
- 貯蓄だけでは初年度を乗り切れない
- 一時的な負担を分散したい
- 子ども本人に一部を負担してもらいたい
といった理由です。
ただし奨学金は、
**将来返済が必要な「借金」**でもあります。
そのため最近では、
「借りる前に、使える制度をきちんと知っておきたい」
と考える家庭が増えてきました。
令和7年度からの無償化制度は、
まさにその一つであり、
双子家庭にとっても知っておく価値のある制度だと言えます。
令和7年度からの「多子世帯の大学無償化」とは

この図は、双子家庭の世帯構成ごとに「大学無償化の対象になるタイミング」を整理したものです。 同じ双子家庭でも、兄弟の有無や年齢差によって、支援の範囲は大きく変わります。
このあと、それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
双子家庭の教育費を考えるうえで、
避けて通れないのが 令和7年度から本格実施される「多子世帯の大学無償化制度」 です。
この制度は、
「子どもが3人以上いる家庭の大学教育費負担を軽減する」
ことを目的としており、双子家庭とも相性の良い仕組みになっています。
ただし、内容を正しく理解していないと、
「思っていたのと違った」と感じてしまうケースも少なくありません。
ここでは、制度の基本を整理します。
制度の概要(授業料70万円上限)
多子世帯の大学無償化では、
大学・短大・高専・専門学校などに在学する学生に対して、授業料が支援されます。
支援額の上限は、
1人あたり年間70万円です。
重要なのは、
- 「授業料が全額無料になる」とは限らない
- あくまで 上限付きの支援 である
という点です。
たとえば、
- 国立大学の授業料は、ほぼ上限内に収まるため実質無償に近くなる
- 私立大学の場合は、差額分を自己負担する必要がある
という違いが生じます。
国立・私立のちがい
この制度は、
国立・私立を問わず対象になります。
ただし、支援額が同じため、
実際の負担感には差が出ます。
- 国立大学
授業料が比較的低く、
支援額内に収まりやすい - 私立大学
授業料が高いため、
支援後も一定額の自己負担が残る
そのため、
「無償化=学費ゼロ」と思ってしまうと、
私立進学の場合にギャップを感じやすくなります。
「人数」ではなく「扶養」が基準という重要ポイント
この制度で最も誤解されやすいのが、
「子どもの人数」ではなく、「扶養している子の人数」で判定される
という点です。
具体的には、
- 税法上、扶養している子が3人以上いること
- そのうち、大学などに在学している子が支援対象
という仕組みになっています。
つまり、
- 3人きょうだいでも
→ 扶養から外れている子がいれば対象外になることがある - 逆に、年齢差が小さく
→ 同時期に3人を扶養していれば対象になる
といったケースが生まれます。
双子家庭では、
「いつ・何人を扶養しているか」
が、教育費を大きく左右するポイントになります。
双子のみの場合|大学教育費はどうなる?
兄弟がいない「双子のみ」の家庭では、
令和7年度からの多子世帯向け大学無償化制度は、
原則として対象になりません。
その理由と、実際にかかる教育費の目安を見ていきます。
無償化の対象になる?
結論から言うと、
双子のみ(扶養する子が2人)の場合は、多子世帯に該当せず、無償化の対象外です。
制度の条件は、
「税法上、扶養している子が3人以上」であること。
双子家庭は、人数としては2人のため、
たとえ同時に大学へ進学しても、
この制度の支援は受けられない仕組みになっています。
そのため、双子のみの家庭では、
大学教育費は基本的に全額自己負担となります。
私立文系×理系のモデルケース
ここでは、よくある進学パターンとして、
- 双子の一方が 私立文系
- もう一方が 私立理系
というケースで考えてみます。
一般的な学費の目安は、
- 私立文系:約100万円/年
- 私立理系:約130万円/年
合計すると、
年間で約230万円の教育費が必要になります。
この金額が、
2人分・同時に・毎年かかる点が、
双子家庭の大きな負担になりやすい部分です。
4年間の世帯教育費目安
上記の条件を4年間で換算すると、
- 年間:230万円
- 4年間合計:約920万円
となります。
さらに、初年度には、
- 入学金
- 教材費
- パソコン・通学用品
- 自宅外通学の場合は引っ越し費用
などが加わるため、
実際の初年度負担は、より大きくなる点にも注意が必要です。
双子の大学教育費を詳しく知りたい方へ
ここでは全体像を把握するため、
学費をシンプルにまとめました。
私立の文系・理系別の詳しい金額、
4年間の内訳については、
こちらの記事で詳しく解説しています。
双子+兄弟がいる場合|教育費は安くなる?
双子に加えて下の子がいる家庭では、
令和7年度からの多子世帯向け大学無償化制度の
恩恵を最も受けやすい構成になります。
双子のみの場合と比べて、
どのタイミングで、どれくらい教育費が軽減されるのかを見ていきます。
双子+下の子のケース
多子世帯になる条件
双子に下の子がいる家庭では、
- 税法上、扶養している子が 3人
- 双子2人が 同時に大学に在学
という条件を満たしやすく、
多子世帯として無償化の対象になりやすい構成です。
下の子がまだ高校生以下であっても、
扶養に入っていれば問題ありません。
年間負担が大きく下がる理由
このケースでは、
大学に通っている双子2人ともが支援対象になります。
たとえば、
- 私立文系:約100万円
- 私立理系:約130万円
という組み合わせでも、
1人あたり年間70万円まで支援されるため、
- 世帯の年間負担は約230万円 → 約90万円 に軽減されます。
大学費用が最も重くなる時期の負担を、
大きく下げられる点が、
この構成の最大のメリットです。
▶︎ 双子+下の子の無償化を詳しく知りたい方へ
上の子+双子のケース
上の子だけ対象になるケース
上の子が大学に在学している間は、
- 上の子+双子2人を 同時に扶養
- 大学に通っているのは 上の子のみ
という状況になります。
この場合、
無償化の対象になるのは上の子1人のみです。
双子が高校生の間は、
制度の恩恵は限定的になります。
全員対象になる「短い期間」
上の子が在学中に、
双子が大学へ進学した場合には、
- 扶養3人
- 大学在学3人
という条件がそろい、
全員が無償化の対象になる期間が生まれます。
ただしこの期間は、
- 年齢差が短い場合に限られる
- 数年、もしくは1〜2年程度にとどまる
ケースが多く、
制度の恩恵が一時的になりやすい点には注意が必要です。
▶︎ 上の子+双子の無償化を詳しく知りたい方へ
「思っていたより安くならなかった」
と感じやすいのが、このケースです。
- 上の子だけ対象になる理由
- 全員対象になるタイミング
- 年齢差が与える影響
については、
こちらの記事で今後具体例を使って解説していきます。
【比較表】世帯構成別|大学教育費の目安
令和7年度からの多子世帯向け支援を前提に、
双子家庭で想定されやすい世帯構成別に、
4年間の大学教育費を“目安”として比較します。
※ 金額は授業料ベースの概算です
※ 入学金・生活費・下宿費等は含みません
■ 双子のみ(私立文系+私立理系)
- 無償化:対象外
- 年間負担:約230万円
- 4年間合計:約920万円
双子が同時に進学しても、
扶養人数が2人のため多子世帯には該当しません。
「同時進学=無償化」という誤解が最も多いケースです。
▶︎ 詳細はこちら
■ 双子+下の子(扶養3人)
- 無償化:双子2人とも対象
- 年間負担:約90万円
- 4年間合計:約360万円
双子が同時に大学へ進学し、
下の子が扶養に入っている場合、
最も制度の恩恵を受けやすい構成です。
「3人いるのに教育費が一番軽い」
と感じられるのは、このパターンです。
▶︎ 詳細はこちら
→ 今後作成予定
■ 上の子+双子(年齢差あり)
- 無償化:
・原則は上の子のみ
・一部期間のみ全員対象 - 4年間合計:約700〜900万円前後
年齢差によって支援額が大きく変わります。
全員が対象になる期間は限定的で、
「期待ほど下がらなかった」と感じやすい構成です。
▶︎ 詳細はこちら
→ 今後作成予定
結論として
教育費が軽くなりやすい順は、
1️⃣ 双子+下の子
2️⃣ 双子のみ
3️⃣ 上の子+双子
となります。
双子家庭が知っておきたい3つの注意点
制度を正しく理解していないと、
「対象だと思っていたのに違った」
という事態にもなりかねません。
双子家庭が特に注意したいポイントを3つ整理します。
扶養から外れた年は対象外
多子世帯の判定は、
その年の税法上の扶養人数で行われます。
- 子どもが就職した
- 収入が増えて扶養を外れた
といった場合、
翌年度から支援対象外になる可能性があります。
アルバイト収入の落とし穴
大学生本人のアルバイト収入が増えると、
- 扶養控除から外れる
- 世帯として「扶養2人」と判定される
というケースもあります。
「学費を助けるためのバイトが、
結果的に支援を減らしてしまう」
という逆転現象には注意が必要です。
年度ごとに判定される制度
多子世帯の判定は、
入学時に一度決まって終わりではありません。
- 毎年度
- 扶養状況・在学状況をもとに再判定
されるため、
年によって支援額が変わる可能性があります。
まとめ|「人数」より「進学時期」が教育費を左右する
双子家庭の大学教育費は、
「双子かどうか」だけで決まるものではありません。
令和7年度からの多子世帯向け支援制度では、
何人いるかよりも、
その年に誰を扶養しているか、
同時に大学へ通っている人数が重要になります。
その結果、同じ双子家庭でも、
- 双子のみ
- 双子+下の子
- 上の子+双子
といった世帯構成の違いによって、
4年間で数百万円単位の差が生まれることもあります。
特に、
- 双子+下の子の構成は支援を最大限活用しやすい
- 上の子+双子は「一時的に安くなるが、継続しにくい」
- 双子のみは無償化対象外になりやすい
という点は、
進学時期を考える上で知っておきたい重要なポイントです。
「制度があるから大丈夫」と安心する前に、
自分の家庭が“どの年に・誰が・どこまで対象になるのか”
を把握しておくことが、
後悔しない教育費計画につながります。
本記事では全体像を整理しましたが、
具体的な金額やタイミングは、
各ケース別の記事で詳しく解説しています。
ぜひ、ご家庭の状況に近い記事から確認してみてください。

