うちの双子は、少しでも分からないことがあると「ママやって」「これどうするの?」とすぐに答えを求めてきます。新しいおもちゃや遊びにもあまり手を伸ばさず、どうしても“いつもの遊び”に戻ってしまいがちでした。
最初は「もう少し自分で考えてほしい」「挑戦する気持ちを育てたい」と思っていましたが、実はこれは“子ども自身の問題”ではありませんでした。
結論は、子どもにとってインプット(情報)が足りていないから、そもそも考える土台がないということ。そしてその土台は、親が手本を見せることで一気に広がるということを、育児を通して実感しました。
本記事では、我が家の実例(パズル・ワーク・料理・ストライダー)を交えながら、
「考える力」を育てるための“最初の一歩”を詳しく紹介します。
3歳双子が新しい遊びに挑戦しない理由
我が家の双子は、どちらも新しい遊びへの一歩がとても慎重です。
挑戦する前にまず“怖さ”が先に立ち、見慣れた遊びを選びがちです。これは3歳児によく見られる気質でもありますが、双子には特有の要因も加わります。
まず、3歳は「自分でできるかどうか」の判断材料がまだ少ない時期です。
そのため、見たことのない遊びに直面すると、
「できないかもしれない」という不安が“やってみたい”より強く働きます。
結果として、まず様子見に入り、しばらく動かないことが多いのです。
さらに、双子の場合は相互に強い影響を与え合う傾向があります。
一人が慎重モードに入ると、もう一人もそれに同調し、
“挑戦しない空気”がふたりの間で共有されやすくなります。
これは双子育児では非常に典型的なパターンです。
総じて、以下の三つの要因が重なり合い、
**「興味はあっても、最初の一歩が出にくい」**という状態が生まれていました。
- 新しいことへの不安の強さ
- 見慣れた遊びを好む気質(ルーティン化の安心感)
- 双子同士の相互影響による“慎重ムードの強化”
この背景があったからこそ、我が家では“手本インプット”(まずやり方を見せる)が効果的に働きました。
「見て理解する」という入口をつくることで、最初の一歩への心理的ハードルが大きく下がったからです。
泣いている時は考えられない|放置が逆効果になる理由
3年間双子を育ててきて実感していることがあります。
それは、泣いている時ほど子どもは何も考えられないという事実です。
泣いている=感情が大きく揺れている状態では、
こちらの声かけや指示はほとんど届きません。
さらに「じゃあ落ち着くまで放っておこう」としても、
不安や孤独感が強まり、かえって状況が悪化することがあります。
特に新しい遊びや初挑戦の場面では、
- できなかった悔しさ
- うまくいかない不安
- 勇気が出ない焦り
こうした感情が一気にあふれ、
泣くことで自分を守ろうとすることもあります。
だからこそ、泣いている時に必要なのは
叱ることでも、放置することでもなく、気持ちの回復を助けること。
抱きしめて安心させ、
落ち着いてきたところで気持ちを代弁してあげると、
次に進む準備が整っていきます。
そして心が落ち着いた後にこそ、
手本(やり方)を見せるインプットが入りやすくなるのです。
ここから先は「子どもが落ち着いた後」をどうサポートするか
泣き止んで心が安定した状態では、
- どう声をかければ前向きになれるか
- どんな環境や仕組みが“次の成功”につながるか
といった“具体的な支え方”が効いてきます。
以下の記事では、まさにその
「落ち着いた後の関わり方」
「自信を取り戻すための環境づくり」
について詳しく解説しています。
▼気持ちが落ち着いたあとの関わり方を詳しく知りたい方はこちら
▼遊び・挑戦の場面で“成功の芽”を作る環境づくりはこちら
効果的だったのは「先に手本を見せる」こと
「考える力=全部を自分でやらせること」と誤解されがちですが、
発達段階の子どもにとっては、“やり方がわからない”状態で考えることは不可能です。
大人でも、説明書がないまま新しい家電を渡されたら困るのと同じです。
そのため我が家では、
知らないものには“最初の一歩だけ”手本を見せる
という方法をとるようにしました。
ポイントは「全部やってあげる」のではなく、
やり方の“入口”だけを示すこと。
すると子どもは、
「なるほど、こう動かすのか」「こうすればできそう」
と理解しやすくなり、そこから自分で試行錯誤が始まりました。
以下では、実際に効果のあった具体例をご紹介します。
パズルの段階を確認する

① まずは親がすべて埋める(完成形を見せる)
→ 子どもに“ゴールの形”をインプットさせる段階です。
② 最後の5ピースだけ、子どもに任せる
→ できる部分を見極め、成功体験をつくるステップです。
③ できるピースを少しずつ増やす
→ 「ここはできそう」という領域を広げていきます。
④ 最終的に自分だけで30ピースを完成できるようになる
この方法は、50ピース・80ピース、さらには新しい30ピースのパズルでも同じです。
“完成形の手本をまず見せる”ことで、子どもの理解が早く、パズルは今でも大好きなおもちゃになっています。
市販ワークは細かな“段階”を見極める

市販ワークには対象年齢が書かれていますが、3歳でも内容が難しい場合があります。
そのため我が家では、購入前に本屋で中身を確認し、
“今の子どもができるレベル”から始めることを徹底してきました。
ワークの最初のページを親が一緒に解きながら、
「こうやって考えるんだよ」という思考の手本をインプットし、
少しずつ自分でできる範囲を広げていくのが我が家の基本方針です。
お料理編:卵を割る

娘は料理(=ママのお手伝い)が大好きで、休日はよくホットケーキを作ります。
豆腐を混ぜ、粉→卵→牛乳の順で入れて混ぜる流れを何度も見てきたので、
卵の工程になると「やる!」と言って踏み台を持ってくるようになりました。
はじめは卵を強く叩きすぎたり、殻が入ったりしましたが、
何度も“やり方の手本”を見てきたことにより、自然と加減を学びました。
最近では“コンコン”とちょうど良い力でヒビを入れられるようになり、上達を感じています。
運動編:近所のお友達と遊びながら学んだストライダー
ストライダーだけは、親が“手本”を見せることができませんでした。
ところが、近所のお友達と遊ぶ機会があり、
その子がスイスイとストライダーを乗りこなす姿を見た瞬間、2人の表情が変わりました。
「こうやって乗るんだ!」
「足を浮かせられるんだ!」
言葉ではなく“目で理解”したことで、急に前へ進めるようになったのです。
この経験から、
運動系は特に「見て学ぶ」が最強のインプットである
と強く感じました。
動画でインプット?歌えるように
動画だけの力ではありませんが、
動画で繰り返し耳に入る歌と、保育園で同じ歌を歌う経験が重なり、
口ずさむ頻度が増えていきました。
最初はたどたどしかったフレーズも、
繰り返しインプット(動画+保育園)→アウトプット(自分で歌う)
という流れを経て、今でははっきり歌えるようになりました。
答えではなく“考える筋道”を渡す
「自分で考えてほしい」という願いは、多くの親に共通しています。
しかし、幼児期は“知識のインプット”がまだ少ないため、完全に自力で解決するのは難しい場面が多くあります。
だからこそ我が家では、まず“手本インプット”でやり方を見せ、できる範囲を増やしてきました。
ただし、インプットがある程度たまってくると、
次のステップとして重要になるのが「答えではなく、考える筋道を渡す」ことです。
これは「丸投げして考えさせる」という意味ではありません。
大人が“進む方向”だけを示し、子どもがその中で選んだり、試したりできるようにする関わり方です。
たとえば、パズルやワークでつまずいたときは、
- 「どの形がここに入りそうかな?」
- 「まず角から探してみようか?」
- 「同じ色の仲間を集めてみよう」
といった“プロセスのヒント”だけを示します。
これは“答えを教える”とは違い、
思考のステップそのものを見せているだけです。
このプロセスを積み重ねることで、子ども自身が
「こういうときはこうやって考えるんだな」
「まずはここから試してみよう」
と、解き方の型を身につけていきます。
実際、我が家でもインプット量が増えてからは、
いきなり「ママやって」ではなく、
「ここどうするの?」
「これで合ってる?」
と“確認ベース”の声かけに変わってきました。
これは、考える土台が育ってきた証拠です。
つまり、
- 最初は“やり方を見せる”手本インプット
- 慣れてきたら“答えではなく筋道を渡す”サポート
この二段構えが、幼児期の「自分で考えられる力」を育てます。
まとめ|考える力は“インプット→成功体験”の順番で育つ
3歳・幼児の「自分で考える力」は、
放っておけば自然に育つものではありません。
まずは
- やり方(手本)を知るインプット
- やってみたらできたという成功体験
この2つがそろってはじめて、「自分で考えてみよう」という意欲が生まれます。
記事全体を通してお伝えしたかったのは、
考えるためには“材料”が必要だということ。
大人でも、知らない問題は考えようがありません。
同じように、幼児にとっても
- パズルの進め方
- ワークの取り組み方
- 卵の割り方
- ストライダーの体の使い方
- 歌のリズムやメロディ
こうした“事前知識”があるほど、
考えたり、応用したりする力が伸びていきます。
そしてインプットがたまってきたタイミングで、
大人は「答え」ではなく「考える筋道」を渡します。
- どうやって探す?
- まず何からやる?
- 他にどんな方法があるかな?
こうした声かけにより、
子どもは“自分で解決する体験”を積み上げていきます。
結果として、
- 手本インプット(基礎)
- 小さな成功体験(自信)
- 考える筋道の共有(応用)
という順番で、
「すぐ『ママやって』と言う子」が「自分で考えられる子」に変わっていきます。
育児の現場では、親の関わり方が子どもの成長を大きく左右します。
今回紹介したプロセスは、どの家庭でも、今日から取り入れられる小さな工夫です。
お子さんの日常の中で、
- できなかったことが、少しできるようになった
- 最初の一歩が前よりスムーズになった
- 自分で考えてみようとする姿勢が増えてきた
そんな小さな変化が見えてくるはずです。
“考える力”は急に育つわけではありません。
しかし、適切なインプットと成功体験の積み重ねが、確実にその土台をつくっていきます。

